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EQUALAND SHIBUYAで、ショップとお客様の関係を超える場をつくる2人

equal(平等)とland(島)を合わせた名称の『EQUALAND(イコーランド)』は、PRエージェンシーであるワンオーの代表、松井智則さんと、20代という若さでディレクターに就任した森井杏南さんの両人の創造を軸として生み出される新しい価値観を持つスペースです。単なるショップにとどまらないこのEQUALAND SHIBUYAはどういった機能を持つ“場”なのでしょうか?

MIYASHITA PARKらしい文化の中から
キーマンと呼ばれる人が誕生して欲しい(松井)

数ヶ月単位でテーマを変えて商品ラインナップがガラッと変わるショップ、そしてプレスルームも併設されているEQUALAND SHIBUYA。どういう経緯でそういった形態を持たせたのか、そしてその形態によって新しく生み出そうと考えていることは何なのかを、松井さんと森井さんの2人の言葉から教えていただきました。

―ショップにプレスルームが併設しているという、他で見ない業態のEQUALAND SHIBUYAのコンセプトを伺ってもいいですか?

(森井)“大切なことはいつもあなたが知っている”というのをコンセプトに掲げていて、今の時代、買い物をすることだけではなく、その先にあるストーリーも考えたり知ったりすることで、新しい価値観を生み出せるようになったらいいなと思ってます。お店が2〜3ヶ月ごとにテーマを設定して、そのテーマに基づくものが展開されていくので、月によってはお洋服しかない月もあれば、食べ物しかない月もある、といった点も商品ラインナップのコンセプトとしては変わっているかもしれません。

―こういった形態の店舗を出店するようになった経緯はなんだったのでしょうか?

(松井)正直なお話をすると、今のこの店舗の2倍の広さを借りたかったんです。そこにプレスルームとして機能している原宿の会社ごと引っ越そうと思っていて。8割が会社で2割が店舗というような構成にしたくて。でも……とある事情で、今のこの広さでの出店しか難しくなったのと、EQUALANDというコンセプトもつくっていたので、店舗を8割、プレスルームで2割という構成に変更して、この規模での出店に至ったという感じですね。なのでこのプレスルームもお店と連動した商品のサンプルをメインで置いています。

―昨今のセレクトショップでは、ライフスタイル全体にリンクする雑貨も扱うのが当たり前になってきていますが、その中で様々なカテゴリーのアイテムを扱われて、時にギャラリー、時にプレスルームとして変貌するEQUALANDのメリットはどんな点になりますか?

(森井)もともと会社としてあるPR機能を活かして、売るだけでなく発信もできるというところですね。
(松井)EQUALANDという名前は、equal(平等)とland(島)を組み合わせた造語なんです。ブランドの名前というのではなく、社会課題をファッションという切り口で解決していこうというプロジェクトの総称で、そうした考えの下で店舗も運営しています。森井が選ぶブランドも背景のストーリーがしっかりとあるブランドを軸としています。プレスルームというのは業界の人に対して過大に広告する仕事じゃないですか。でも物の知見だけはしっかりと残したまま、もっと消費者に直接PRできる業態に変えていきたいという思いもあって、ショップとプレスルームが繋がった店舗としました。SNSがここまで発展してくるといわゆる業界の人と一般の方の境目もなくなってくるとも思っていて。だからB to BもCもなくて“伝える”ということだけを残そうと思った結果がこの店舗にたどり着いた感じですね。

―そういった構想は、MIYASHITA PARKの場所があったから考えられたんですか?

(松井)MIYASHITA PARKで出店したのは、タイミング的に合っていたからなんですけど、そういう業態をやりたいというのは前々からありました。

―今やサスティナブルというキーワードはトレンドというよりも、当たり前にやっていかなくてはならない世界になったと思います。商品のラインナップを見てもサスティナブルに基づくようなアイテムが多く感じられますが、EQUALANDならではのサスティナブルに対する取り組みはどう行っていこうと思われますか?

(森井)時代性もあった、物と心のバランスを意識しています。例えば、パーソナライズ石鹸という自分だけの石鹸が作れるブランドがあって、環境に配慮したものであることは当然なのですが、作る過程や背景にあるストーリーを知ることで、ものをつくる暮らしの楽しさや環境に対しての問題を知ることができます。アイテム単体だけでなく、そういった背景を伝えられるブランドをピックアップするようにしています。起こっている問題に対して興味を持つきっかけになる商品を選んでいるというか。
(松井)先日、気候変動に関する授業を受けたんですよ。すると、僕らが知っていたサスティナブルとかエシカルということをかなり勘違いしてることが多いとわかって。ファッション業界の人が思う課題解決をしているだけで、もうちょっと地球規模で考えなきゃいけないなと思わされたんです。だから気づきを与えることでみんなで向かうゴール設定をしなければならないと考えています。ファッション業界とそうでない業界が一緒に考えなきゃいけないというか。

―コロナ禍でのオープンとなってしまったわけですが、それによって構想を練っていた商品ラインナップと変えたところはあったりしましたか?

(森井)“私たちの生き方”という大テーマがあるんですけど、それは自分はどういうところを支持してどういうふうに生きたいのか、どう消費していくかを考えるのが買い物をする上でもスタンダードな価値観になってくると思って生まれたワーディングです。なので、大きい部分ではコロナ禍だから変わったということはないですね。

―MIYASHITA PARKは街の一角みたいな形状をしているので、通りがかりにふらっと立ち寄るお客さんなど、様々な人が入って来やすい施設です。その中で、どういったお客さんに来て欲しいなどありますか?

(森井)個人的には、商品の背景にあるストーリーを大事にしていることもあるので、ファッションが好きなことは大前提にあったとして、そこの先に政治やエコでもなんでもいいんですけど、服単体ではなく大きな括りでファッションに興味のある方たちに来てもらえると嬉しいですね。
(松井)渋谷区の仕事もしていて、ここから生み出されるカルチャーを大事にして欲しいと区からもお願いされていたんですよね。だからこのMIYASHITA PARKらしいスターが生まれて欲しいとも思っているんです。昔みたいに大きなトレンドでみんなが動くことはなくて、細分化されたコミュニティの中から文化が生まれたりするので、MIYASHITA PARKらしい文化が生まれて、その中からキーマンと呼ばれる人が誕生したら楽しいと思います。だから、そういうカルチャーに触れてみたい人に来て欲しいですね。

―MIYASHITA PARKらしい文化を生み出すための、この施設の魅力はどういったところにあると思いますか?

(森井)公園があったり、低層であることで、1店舗1店舗の特色がわかりやすいですよね。道みたいな形状でもあるので、目的を持っていない人でも入りやすくて。だからどの世代のどういったジャンルの人も集まりやすい場所だと思いますね。

―松井さんはこの渋谷近辺でずっとお仕事をされていて、渋谷の街が変わっていく様子を見られて思うことなどありますか?

(松井)うーん……あんまり家賃が上がって欲しくないですね(笑)。というのも、昔の原宿や代々木は家賃が安かったからクリエイターになる人もたくさん住んでいたと思うんです。それが、今は都市開発されて家賃が高くなって住めないから、下北沢や高円寺や吉祥寺に流れていってしまってる気がするんですよね。だから再開発って、やり方を気をつけないと諸刃の剣になる気がしてて。なのでMIYASHITA PARKもまだまだこれからという若い人が何かを発表できる場になって欲しいという想いもあります。再開発が進んでもインキュベーションやコワーキングなんかの機能は必ず設けて、若い人たちを育てる施設を街としてバックアップしていかないといけないですよね。

―今後EQUALAND SHIBUYAでやってみたいことや、MIYASHITA PARKに期待することはありますか?

(森井)オンラインとフィジカルの連動は強化したいですね。母体のワンオーならではのPR機能も活かして、スタイリストさんがスタイリングを組んでくださる、というのをオンラインでやってみたりとか。体験できることをもっと増やしていきたいです。
(松井)さっきも言いましたけど、都市開発はこれからも進むと思うけど、渋谷は老若男女が来ることのできる街なので、多様性のある方々がもっと集まってくれたらいいですね。僕はPARCOの販売員からキャリアが始まって、今もファッションの仕事をやっているんですよ。だから僕ら世代の今40代の人たちは、PARCOのカルチャーで育ったという人が多くて。このMIYASHITA PARKも数十年後にそういわれる施設になっていたらいいですよね。そういったカルチャーが生まれる仕組みづくりをEQUALANDとしても自分としても一緒にやれたらいいと思ってます。


1年を振り返って大切な人へ贈り物をしたいホリデーシーズンに向けて、クリスマス目前にEQUALAND SHIBUYAからおすすめのギフトアイテムをチョイスしていただきました。

(森井)今年のクリスマスはおうちで過ごす方も多いと思うんです。これは自分でパーソナライズした石鹸を成形して作れるので、家族と一緒に作ることも楽しめるし、1箱で2個作れるので、誰かとシェアもできて、ギフトとしておすすめですね。アロマオイルで香りも変えられるところもいいですね。
(松井)とにかく温かいんです(笑)。EQUALANDのオリジナルアパレル商品は、世界中の工場から出る余剰在庫の素材で作ってるんで、安くできるんですよ。なので、某ラグジュアリーメーカーが使っているのと同じ素材のものなのに、価格も良心的なので、ギフトとしていいかと思います。地球にも優しいですしね(笑)。
(森井)これはクリスマスデートに着ていって欲しいですね。ミンジュ・キムは、NETFLIXの『NEXT IN FASHION』という若手デザイナーのファッションコンテストの番組で優勝した人のブランドで。日本でまだ展開されている数も少なくて、韓国ドラマの衣装でもよく使われているので、話題づくりにもなると思います(笑)。

松井智則
株式会社ワンオー代表取締役。国内外約80ものブランドのPRを手掛け、世界各地とも連携を取り、ファッションから行政まで幅広いクライアントのプランニング・コンサルティング事業に携わる

森井杏南
文化服装学院卒業後、株式会社ワンオー入社。デザイナーズブランドや外資ブランドのPR、企画、コンサル業務に携わる。現在は、2020年7月にオープンしたEQUALAND SHIBUYAのディレクターを務める。

Photograph:Takaki Iwata
Edit&Text:PineBooks inc

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