森本慎太郎/ 第48回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞者インタビュー

―――今日の撮影は、いかがでしたか?
普段写真を撮っていただく時とはまた雰囲気が違って、ちょっと緊張しましたね。
表情の変化をゆっくりすることって、普段(写真を撮るときには)なくて。
「目に力を入れてるところから徐々に笑ってください」とか、初めての経験でちょっと恥ずかしかったです。
いつもは全く緊張しないですが、やっぱり<日本アカデミー賞>という名前がつくだけで、緊張してる自分がいますね(笑)
―――日本アカデミー賞のイメージは?
<祭典>のイメージがすごくあって。ただ、慣れてる方と慣れてない方の差がすごい出るなと思ってて(笑)
それこそ、大泉洋さんはすごく場を和ませたりされてらっしゃるけど、うち(SixTONES)のメンバーの(松村)北斗は、新人俳優賞のコメントで「すみませんでした」って謝ってきたとか(笑)
それくらい差が出るけど、それほどみんな日本アカデミー賞という場を楽しんでたり、その空気感を味わったりしていらっしゃるんだなと。
僕からすると絶対に入ることはないだろうなと思っていたところではあったので、楽しみでもあり、緊張もあり、という感じですね。
―――その舞台に立たれますが、心境はいかがですか?
とりあえず、みなさんにコメント考えてもらおうかな(笑)
もう自分が言いたいことはこうなんです、というのを言葉にしてもらって綺麗なスピーチできた方がいいかなぁ、と思って。
みなさんに何言った方がいいかとか、「こういうこと言おうと思ってるんですけどどうですか?」と聞こうかなと思っています。
―――どんな時、新人俳優賞受賞の報告を聞きましたか?
楽屋でマネージャーさんとお仕事の話をしていた流れで聞きました。
「えぇ?」って。(笑)
僕は、日本アカデミー賞という場に呼ばれるとは本当に思ってなくて、ただ『正体』という作品に出ることができたのはすごく良かったし、観てくれた方々もたくさんメッセージを受け取っていただいたみたいで。そういう『正体』という作品に出られたからこそ、その作品が受賞してほしいとは思うんです。
でもその中で僕も選ばれるっていうのは本当に考えていなかったので、もう「えぇ?俺ですか?」って言いました。本当に。
「ありがたいけど、いいんですかね?」という、そっちが強かったですね。
嬉しさと、本当にいいのかな、という気持ちが混在していました。
―――誰かに報告しましたか?その反応は?
(松村)北斗です!
リハーサルをしていて、横にいる北斗が踊っている時に「あ、北斗。新人俳優賞受賞したよ」と言ったら「え!?」というリアクションの後に、
「ほんと!?おめでとう!」
「ありがとう」
というやりとりをして、まだリハ中だったので踊らないといけないし(笑)
そこは集中してやった後に、休憩の時に改めて
「おめでとう。『正体』で?(受賞したの?)」
「そうそう!」
という話をしましたね。
その後メンバー全員に伝えた、という流れでした。
―――今日の撮影ビジュアルは、MIYASHITA PARKに展示されますが、MIYASHITA PARKに行ったことはありますか?
行きたいんですけど、まだ行けてないですね。
宮下公園だったら行ったことあるんですけど新しくなってから行ったことがないので、(NEW CINEMA FACEの)展示が始まったら見に行こうと思います。
―――渋谷の印象、イメージをお聞かせください。
高校生くらいまでは行っていたんですけど、行かなくなっちゃいましたね。
その頃の渋谷は、めちゃくちゃ大人になった気分でした。おしゃれな人たち、かっこいい人たちがいて、時代の最先端みたいな感じで子どもながらに先輩たちの背中を見ながら、自分も大人の仲間入りができているような思いがすごく強くて、渋谷に行くと一回りも二回りも大きくなったような気がしていましたね。
―――映画の魅力は何だと思いますか?あなたにとって「映画」とは?
『正体』が上映されて思ったのは、人に影響を与えることができるな、と。
その、人の人生に確かに何かを伝えて影響を与えられることが一番の魅力だと思っていて、もちろんそれを伝える側が一番大事だし、話の流れも大事だし何もかもがちゃんとはまっていないと人に影響を与えることはできないと思うんですけど、それがどの作品でも、ちっちゃいメッセージでも絶対に一個はあるんですよ。そういう奇跡みたいなことが起きるのが映画だとすごく思いますね。
今回の『正体』を観ていて、自分が感じたメッセージと違う捉え方をする人もいて、でもそれで良くて、それほどたくさんメッセージがあって伝えられることがあって、たくさんの人たちに受け止めてもらえて、奇跡の連続が感じられる。それを『正体』という作品で改めて認識しました。
―――今回の受賞対象作品『正体』の演技中に新しい自分を発見する様な瞬間はありましたか?
『正体』は正直言うと撮影中は不安と心配と恐怖しかなかったです。ずっとそれだけでした。
監督が「オッケー」と言っても、「本当に大丈夫だったのかな」と心配になるし、公開されるまでもしてからもずっと怖かったです。実は。
監督の演出だったり、ものづくりに対して、藤井組ってすごくストイックで真剣で。その場にいさせてもらえたからこそ妥協もせず必死に食らいついていったけど、不安で。
だから、自分で評価をつけるとしたら、その時の自分は恐怖しか感じてなかったからマイナス点なんですよ。
でも、諦めずに食らいついて頑張って表現して、不安でも恐怖を感じてても、真剣に取り組んでいたらちゃんと結果は出るんだなと思って。藤井組を経験して、人として、森本慎太郎として成長できた感じがします。
怖いものがないと言ってしまうと嘘になりますけど、恐怖を感じてもその先に結果が出るってことがわかったので、成長できるんだなとすごく感じました。