菊池日菜子 / 第46回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞者インタビュー
―――今日の撮影はいかがでしたか?
前年のスチールを見て、すごく躍動感のある、かっこいいものになっていたので、私にそれができるのかとちょっと不安だったんですけど。いざここに入ってみると気持ちがピタッと決まって、いろんなポーズができたかなと思います。
―――楽しめましたか?
すっごく楽しかったです。この衣装がとても素敵で、ぱきっとした色で、胸のところがチャイナ服のようになっていて、遊び心のあるこの衣装を身にまとうと楽しさが内から湧き出て楽しめました。
―――日本アカデミー賞はどういうイメージですか?
まさか自分が関わることになるとは全く思っていなかった雲の上の舞台というか、日本映画のトップのほうの…言葉では言い表せない、ちょっと抽象的にはなるんですが、とにかく憧れの場というイメージです。
―――どんな時、新人俳優賞受賞の報告を聞きましたか?
オーディションが終わった後にマネージャーさんとお茶をすることになっていて、何にも知らずにカフェに入って他愛もない話をしていたら、突然「ちょっと待ってね」と言われて。普段そんなことあんまり言われないのでドキッとしたんですけど、まわりに人もいらっしゃるから聞こえないように(スマホの)画面で教えてくださって。多分15秒くらいフリーズしたあとに、ぶわっと涙が出てきて、そしたらマネージャーさんも一緒に泣いてくれて、二人で号泣しながら喜びを分かち合ったんです。そこからまた二週間くらい自分が受賞したっていうことを飲み込むのに時間がかかったんですけど、もう本当に光栄で。これを超える喜びってこれ以降あるのかなって思うくらいすごくうれしかったです。いただいた賞の大きさにビビらないように、それ相応の俳優になれるようにもっと頑張ろうと気を引き締めながらも、まだ幸せに浸っていたいなと思います。
―――誰かに報告しましたか? その反応は?
内密にということだったので、誰にも言わずに、マネージャーさんとだけ分かち合って、解禁日の14時解禁ぴったりに母に電話して、地元の福岡でお世話になっていたレッスンスクールの先生にも連絡を入れて報告をしました。
電話は母だけにしたんですけど、母に電話で連絡することがあまりないので、電話を掛けた時点で「えっ、どうした?」と言われて。報告がありますって言ったら、その瞬間に母が泣いていて、私も五回目くらいの号泣をしました。
―――今日の撮影ビジュアルは、RAYARD MIYASHITA PARKに展示されますが、MIYASHITA PARKに行った事はありますか?
もちろんです。通なわけではないですが、友達と遊びに行ったりとか、かわいい文房具屋さんがあるので、そこによく行ったりします。その場に私の顔がドン!って掲示されるのかと思うと実感が湧かないんですけど、うれしいのでぜひ自分の目で見に行きたいなって思います。
―――RAYARD MIYASHITA PARKで好きなお店を出していいと言われたら、どんなお店を出しますか?
自分が好きな本とか、興味がある本を並べた本屋さんをやってみたいなと思います。本屋さんを出して、MIYASHITA PARKの世界観に合うような品揃えにしてみたいなって思います。
―――渋谷の印象、イメージを、お聞かせください。
福岡にいたときはTVでスクランブル交差点の人が行き交う様子を見ているくらいだったので、めちゃくちゃ人が多いんだな、という認識だったんですが、いざ上京して渋谷に行ってみると、人通りもですけど、華やかさがすごくて、TVでよく見た109もあったりとか、母と初めて行ったときはすごくウキウキして、一日じゃ足りないなって思いました。最近はよく渋谷でお買い物するようになりました。
―――映画の魅力は何だと思いますか? あなたにとって「映画」とは?
「育み」です。私の知らない世界を教えてくれるのは映画だなって思います。もともと母が映画が好きで、小さい頃から色々なジャンルの映画を観てきたんですけど、自分の興味の幅とか知識の幅が広がるなと思いますし、やっぱり自分がもっているコミュニティの中だけで得られる知識とか考えってどうしても偏ってしまう部分があるので、そういった部分を壊してくれるのが映画だなと思っています。映画なしでは今の自分はいないと思います。
―――この作品の演技中に新しい自分を発見するような瞬間はありましたか?
多々あります。
初号試写で初めて完成作を観たときに、正木竜之介さん(田中圭)と対峙するシーンがあるんですけどその時の(自分の)目線が、底から湧く「陰」の部分が出てるなと思って。私にもそんな引き出しがあったんだ、と新しい発見になりましたね。逆に自分で思っていたよりも出ていないなって思う部分も多かったりするので、そういった部分が少しでもなくなるように頑張らないといけないなと思います。
―――10年後20年後の自分像はありますか?
今はお芝居をしている時が何より楽しいので、自分がお芝居をして感情を放出することとか、演じること、表現することを楽しみながら俳優として生きていけていればいいなと思います。それを叶えるためにも、今、もっともっと頑張ろうと思います。