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洋服やレコードを選ぶ感覚で楽しめるCafé Kitsuné

今や世界各国でショップを展開する「Maison Kitsuné」。その人気はウエアだけにとどまらず、カフェにもおよんでいる。日本国内では青山、京都に続くカフェ形態となる「Café Kitsuné」。ディレクターであるクロキマサヤさんは、このCafé Kitsunéからどういったカルチャーを発信したいと考えているのか、また渋谷という街をどう見ているのかを伺いました。

“もっと”を
提供できるのがメリット

こだわり抜かれたエスプレッソコーヒーを提供し、コーヒー通さえもうならせるCafé Kitsunéは、現在国内では、青山、京都、そしてMIYASHITA PARK内にある渋谷の3店舗が出店されています。世界各国でも店舗を増やし、グローバルに展開される中で、この渋谷店はどういった役割を担っているのでしょうか? 現在の世界情勢も交えてクロキマサヤさんが語ってくださいました。

―このMIYASHITA PARKのCafé Kitsunéが国内3店舗目のカフェになるのですが、改めてコンセプトを教えていただいてもいいですか?

僕の生活はDJをやったりもするので、グローバルで移動が多いんだけど、世界各国を回っていると世界中で仲間ができるんです。その世界中の仲間と好きな街に集まるっていうのが生活の基準としてあります。そんなことを考えた時に、仲間と会話していい時間を過ごせる、ハングアウトできる場所がほしいなと思って作ったのがこのCafé Kitsuné。あと、イタリアはほとんどの店のエスプレッソが美味しいんだけど、日本人も美味しいものを探していくじゃないですか。そこはイタリア人と似てるのかも。パリにも東京にもエスプレッソの美味しい店がなかなかないから、自分たちで作ろうと思ったのが最初です。そうやってトライしたら、仲間も集まってくれて、仲間がさらに仲間や家族を呼んでくれたりして徐々にコミュニティが広がって口コミでお客さんが来てくれるようになりました。
SNSがアグレッシブになっていく時代も手伝って、世界各国から出店してほしいという要望も増えてきている感じですね。今でこそ自分たちでグローバルにマーケティングを考えたりするようになったけど、一番最初はお客さんたちがハッシュタグを作ってポストしてくれたのがオーガニックに広がるきっかけでした。だからコンセプトなんて最初はなかったんですよ。とりあえず美味しいエスプレッソを出したいだけだったから。ただ、自分が日本人で、相棒のジルダはフランス人だから、内装とかに関してはそのミックスを意識したりはしました。僕が和のテイストを出して、ジルダがフレンチやヨーロッパなテイストを出してミックスするような。去年からCOVID-19とみんな戦ってるという風潮があるけど、僕たちはそれをいい意味でチャンスに変えようと思っていて。去年はこの渋谷店も含めて4店舗、そして今年は世界のいろんな国で6店舗のオープンを予定してます。
そして、音のクオリティにはこだわってます。KITSUNÉはレーベルでもあるから、そのアーティストの音を流すことは強みでもあると思うので。音というのは時間や空間の流れを変えてくれるものなのに、一番最後に決めたりするお店も多いと思うんです。けれど、僕らは音を最初に考えました。だから、音楽に詳しくても詳しくなくても居心地がいいんです。それもあって青山店なんかは8割方女性のお客さん。Café Kitsunéではラップトップを開くことを禁止にしているので、仕事の話ばっかりしている人とかはいられないんですよ。みんな1日中携帯をいじっているし、ラップトップを開いてるから、お茶してる時間くらいは人間らしくゆっくり過ごしてほしいと思うので。

―MIYASHITA PARKに出店されたのは、路面店だけではなくこういった商業施設の中にも出したいと以前から考えられていたのですか?

いや、前からずっと渋谷に出したいとは思ってたんです。でも、まさかこんな大きい施設に入ることができるとは思ってなかったけど(笑)。カフェだけの店舗を増やしたいと思っていたので、それもタイミングが合ったというか。COVID-19で大変なタイミングではあったけど、NYのお店なんかはオープンし続けていたら、逆にCOVID-19の前よりも売り上げが増してるんですよね。やっぱりハングアウトできる場所をみんな求めてるんです。その代わり感染予防に関しては世界中のどのお店でも徹底しています。

―KITSUNÉはもともと音楽レーベルであり、Maison Kitsunéとしてアパレルブランドでもあります。そのブランドがカフェを経営するメリットはなんでしょうか?

シンプルに、買い物の前後でお茶ができるということだと思います。自分たちはこれまで経験した生活に密着するものをビジネスに繋げている感覚しかないので。だからメリットとかはあまり考えたことがなくて。自分たちはファッションも音楽も好きで、そこから繋がった仲間たちが集まることのできる場所を作りたかっただけ。でも考えてみると、Kitsunéのショッピングバッグを持ったままお茶ができると、単純に買い物だけしたりお茶だけしたりするよりも“もっと”楽しくなれる、ということですかね。“もっと”を提供できるのがメリットかも。そこで僕らは長い間、移動が多い生活をしているので、その生活を快適にするためのヒントから生まれた、いろんな業態が交わったリゾートも海外で計画しています。これが“もっと”を追求した形かもしれないですね。

―路面店である青山店と施設の中にある渋谷店で意図的に違いをつけようと思った点はありますか?

特に意図的なものはないんだけど、スペシャルメニューの開発はしてます。あと、若い方たちがいやすいように、音を変えて低音が響くようにしていたりとか。渋谷だから、渋谷っぽくする、というようなことは特に考えなかったですね。施設のコンクリートを打ち出した内観に同調することは考えたけど。
渋谷という街にお店を出せたことで新しい発信ができていると思うんですよね。お客さんが撮ってSNSにアップする写真でも、青山店のお客さんとも全然違うし。だから、お客さんと一緒になることでそれぞれのお店のカラーが出てくるんじゃないかな。

―訪れる方によって特有の色を作って一緒に成長していくショップということですね。

そう。渋谷はストリートのスタイルを持った若いお客さんも多くて発信してくれるから、また新しいショップになるとも思うんですよね。だから常に進化していくと思います。建物としては完成してるけど、お店としてはまだまだ進化する。アーティストがペイントしたウィンドウにしたりしてもいいかもしれないし、面白いことをやりたいですね。屋上の公園で食べられるメニューとかももっと増やしたいし。

―MIYASHITA PARK内のショップだからやれること、やってみたいこととかありますか?

公園もある唯一の施設なんだから、もっと目立ってほしいですね。やっとできたんだし。あと僕らは音楽レーベルもやってるし、その楽しみ方を一番知ってると思ってるから、やっぱり屋上の公園でフェスをやりたいですね。いろんなショップとも連動して、KITSUNÉにしか表現できないフェスをやりたい。それがきっとこの渋谷店の最大の特徴にもなると思うし、新しいお客さんとまた繋がることができると思うんです。早くCOVID-19が落ち着いて、そんなムードになれるといいですよね。

スタッフ全員、仲が良く、連携が取れているからこそ最高のサービスを提供できるとマサヤさんは話してくださいました。その連携のコミュニティにお客さんが交わることで、素晴らしいムードが生まれるのです。

クロキマサヤ
パリに2002年に設立したライフスタイルブランド、Maison Kitsunéのファウンダー&クリエイティブディレクター。ファッションブランド、カフェ、レコードレーベルとメインに3つの分野の活動をグローバルで展開してるブランド。

Photograph:Tomohiko Tagawa
Edit&Text:PineBooks inc

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